フィンランドの冬は、とにかく寒いし、日照時間が短くて薄暗いし、小さな外出すらも億劫になりがち。けれど、寒さを忘れて、闇に感謝すらして外にいつまででも出ていられる特別な瞬間、それはやはり夜空にオーロラが出現しているときです。オーロラは寒い冬の日にしか出ない、北極圏まで行かないと見られない…と噂もいろいろありますが、さて実際はどうなのでしょう??オーロラ鑑賞のホントのところをお教えします!

まず、オーロラが北極圏(ロヴァニエミ以北のラップランド地方)でないと見られないかというと、必ずしもそんなことはありません。オーロラは地軸付近にドーナツ状に現れるものなので、より北へ行くほど、見られる頻度もそのダイナミックさも上がるのは確かです。ただし、規模によっては北極圏まで到達せずとももっと南部でも見事なオーロラが見られる、ということは十分あり得ます。特に近年は、毎年のように当たり年と騒がれ、フィンランド南端のヘルシンキでさえ見られた、という報告も年に何回か聞かれます。 わたしはヘルシンキから300キロほど北上した中部地方に住んでいますが、北極圏ほど頻繁に壮大なオーロラショーが見られることはないにせよ、肉眼でもよくわかるオーロラに年間10回以上は出会えています。でもやっぱりオーロラ鑑賞目的の観光なら、ラップランドのほうに行くべきですよ。

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finnish nothern lights街あかりに負けないくらい鮮やかにうねる感動的なオーロラ

次に、日本人の間ではよく「オーロラは寒い日に出る」と信じられていますが、実は寒くないといけない、という根拠はまったくありません。というのも、オーロラはほぼ年中、出る日には出ているものだからです。北極圏では、天空でのオーロラの発生日をカウントすれば200日近くにのぼるとも言われています。だから極端な話、夏の夜でも見られることがあるのです。ただし、いかんせん夏至の前後1,2ヶ月は、深夜でも暗闇がほとんど訪れない、いわゆる白夜の季節が続きます。たとえ天空に出現していたとしても、空が少しでも明るいうちは、実際に見ることは難しいものです。わたしの住むフィンランド中部地方だと、すでに日本のお盆くらいの時期になれば、夜中の数時間は暗くなります。運良くそのときにオーロラが出現していれば、暖かい格好をせずとも鑑賞するチャンスがあるのです。実際、2016年にわたしが自宅近くでオーロラを初目撃したのも8月半ばのことでした。

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冬以外の季節のオーロラは、寒さに震えず鑑賞できるというメリットもありますが、もうひとつ、湖に映る逆さオーロラを見られるというのもポイントです。冬場は海も湖も凍って雪をかぶってしまうので、湖面に映るオーロラに出会えるのは秋や春ならではのお楽しみといえますね。

finnish nothern lights700空が晴れて星が見えていることが絶対条件

ただし、オーロラを見るためには、「空に雲がない」ことが絶対条件です。どんなに天空に巨大なオーロラが出現していても、雲のほうがいつでもそれより低い位置に湧くので、空が晴れて星が見えていない限りは、残念ながらどれだけ粘っても目撃することができません。寒い日にオーロラが見られる、という噂は、実はこの点ではあながち間違いでもありません。というのも、夜に空が晴れ渡ると、雲によって閉じ込められていた地表面のエネルギーが天空へ放出され、通常は気温がぐっと下がる(放射冷却が起こる)からです。雲がさほど厚くなく、かつものすごく強い光のオーロラが出ているときは、雲があってもなお空が緑色っぽく輝いて見える、ということも稀にありますが、基本的には星空の下でしか見えないと心得ておくほうが良いでしょう。 ちなみに近年はオーロラアラートや空模様を映したライブカメラなどのオーロラ観測アプリも発達していて、出現情報自体はキャッチしやすくなりました。ちょっとロマンはないかもしれませんが、ライブカメラを気にしつつ暖かい室内で待って、カメラにくっきりとオーロラの帯が移り始めたらいざ外に出る…という方法で、効率よくオーロラを目撃できるような時代になったのです。もちろん、いつでるかとワクワクそわそわしながら寒空の下で待つ昔ながらの時間も、必ずいい思い出になります。

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finnish nothern lights湖がまだ凍っていない時期にだけ観測できる逆さオーロラ

オーロラの魅力は、何と言っても毎度まったく違う姿を見せてくれること。見慣れている現地人にとっても、毎回新鮮な思いで眺める楽しみをもたらしてくれます。色は緑が一般的ですが、活発なものになると、ピンク、紫、赤…とさまざまな色味を帯びてきます。風にそよぐ煙のようにゆったりとたなびくオーロラ、めらめらと燃える炎のように活発にうねるオーロラ、そして頭上からシャワーのように降り注いでくるオーロラ…。この神秘的な感動は、やはり実際に目にした人同士でないとなかなか共有するのは難しいですね。ぜひ、一生に一度はこのダイナミックな天体ショーに出会いに、北国にいらしてください!

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finnish nothern lightsいつどんな色や形のものが出るかわからないのが、オーロラ鑑賞の楽しみ

Cover photo by Visit Finland/Markus Kiili

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こばやし あやな
2011年にフィンランド中部の都市ユヴァスキュラに移住し、国際結婚を経て、2016年にユヴァスキュラ大学の修士課程を修了。 在学中から「Suomiのおかん」の屋号で在住ライター、通訳翻訳者、メディアコーディネーターとしての活動を始め、大学卒業後は会社を設立して個人事業を続けています。地方都市のツーリズムや文化・スポーツ全般、そして特にフィンランドのサウナ文化についての調査や執筆、コーディネートを多く手がけています。